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休日中の事故対応はできますか?

もしも、工場や倉庫で火災が起こったり、労災事故が発生したときには、
・消防や救急に早く連絡すること
・けが人の救護をすること
・保険会社に連絡すること
などの様々な対応が必要となります。

そして、工場に人がいない休日には、これらの対応がどうしても遅れがちになります。

もしも火災が発生したり、盗難が起こったりした場合でも、休日で人がいないときは、すぐに気づくことができないからです。

休日には、人的災害が起こるリスクが少なくなるのは事実ですし、工場で様々な機械類が稼働している間には、たとえば漏電や静電気の発生などによって火花が散り、火災につながるといった可能性も高くなるのです。

しかし、人がいるために、異変に気づいて初期対応が早くできるのですが、誰もいない工場に放火をされたり、タバコを投げ込まれたりしても、小さな炎の間は誰も気づかないということが起こり得ます。

そして、工場の施設を管理する人、人員を統括する人が、休日のためになかなか連絡が取れず、結果的に混乱が大きくなることも考えられるでしょう。

工場や倉庫には、引火しやすい燃料などがあること、密閉性の高い空間であることから、いったん上がった炎がバックドラフトやフラッシュオーバーなどの現象で何度も燃え上がるという可能性があります。

休日の異変にも、できるだけ迅速に対応できるようにしましょう。

夏休みや正月休み、連休などに伴って、工場の休みが何日も連続する場合には、いたずらのような気持ちで入り込んだ子どもが発見されるまで、長時間が経ってしまうという可能性もあります。

「ここからは工場なので、入らないでください」という立て看板やコーンなどを用意して、明確に境界線を示しておくこと、施錠を何重にも行い、簡単に入り込めないようにすることなどを徹底しましょう。

細部まで気を配ったとしても、盗難に遭うことや、火災が起こること、地震が起こることなどはあり得ます。

そのようなときは、警察や消防への連絡、けが人の救護、保険会社への連絡など様々なことを進めなければなりませんが、休日にこのようなことを行う担当者を、はっきりと決めておきましょう。

誰が現場に駆けつけるのか、誰が現場で指揮にあたるのかを決めるとともに、消防や警察の他、警備会社、保険会社など、連絡を入れるべき先を一覧表にまとめ、迷いなく連絡を入れることができるようにします。

工場などの操業中だけではなく、休日中の対応を決めておくことが、混乱を防ぐことにつながるのです。

労働時間と就業規則の見直しを

PL事故を防ぐためには、製品を生み出す工場内での製造ミスが起こらないよう、機械類の点検を行ったり、従業員へ製品に関する知識を伝えること、様々な事故への注意を促すことなどが必要です。

そのために、工場や会社で本来の業務に取り掛かる前の時間を利用して朝礼などを大なっている会社も多いでしょう。

安全のために、作業服や安全靴への着替えを義務付けている場合には、作業に取り掛かる前に着替えの時間が必要です。

このような時間は、貴社の就業規則でどのような扱いになっているかに関わらず、その実態がどうであるかをもとに「労働時間である」とカウントされる可能性があります。

「労働時間である」と認定されることは、決して悪いことではありませんが、経営者の方の「この時間は労働時間ではない」という認識との齟齬があると、知らず知らずのうちに労働基準法に抵触してしまう可能性があります。

労働基準法では、1日あたりの労働時間と、その長さに対応する休憩時間や休日の設定について定めがあります。

これまで、「貴社の労働時間は7時間30分である」と認識していたものが、朝礼や体操などの時間をあわせると8時間に達してしまったというような場合、休憩時間や休日の設定を見直す必要が出てくるかもしれません。

ただし「朝礼や体操などの時間は自由参加にし、労働時間に該当しないようにすべきだ」というわけではなく、その時間が貴社にとってどのくらい大切な時間なのかを再認識し、労働時間に該当するなら法的に問題のないように終業時刻や休憩時間などを設定する、という手続きを踏みましょうということなのです。

また、長時間にわたって従業員の皆さんを作業に従事させていると、作業への集中力が失われ、労働災害やPL事故、機械類の故障、製造ミスなどが起こってしまうこともあります。

欠員が出たり、機械類が故障したり、関係各所による立ち入り調査などを受けるようなことがあると、従業員全体の士気が下がったり、納期が遅れるなどのデメリットも出てきます。

労働基準法の定めに従って休憩時間や休日などを設けることで、従業員の疲れが溜まらないように配慮ができるということになり、貴社としても法的な問題をクリアにできますので、ぜひ貴社の「就業時間」「労働時間」「残業の状況」などを見なおしてみましょう。

そして、気を配っていたにも関わらず、PL事故や労災事故が起こってしまった場合に備えて、損害保険を活用するのです。

節税のための保険について

製造業の世界では、満を持して世に出した製品が予想通りのヒットを記録する場合だけではなく、思いがけないヒット商品が出て大幅な黒字がでたり、逆にPL事故などで製品イメージが急激に悪くなるといった可能性もあります。

黒字が出たときには「できるだけ節税したい。そのための手段はないか?」と税理士さんや会計士さんに相談するという経営者の方も多いものです。

実際に、節税効果のある保険商品も存在します。

そのような商品は主に、PL保険や労災保険のような損害保険ではなく、生命保険などで解約返戻金や満期保険金などがもらえるタイプの商品です。

そして、払い込んだ保険料より多くの解約返戻金や満期保険金を受け取るためには、1年以内といった短期間ではなく、ある程度の期間にわたって保険料を支払い続けなければならない仕組みになっています。

思いがけない理由で資金繰りが悪化して、短期間で保険を解約すると、十分な節税効果が得られないだけではなく、支払った保険料より少ない解約返戻金しか受け取ることができないのです。

節税効果をしっかりと上げるためには、中長期にわたる資金繰りを検討するとともに、いざ保険料の支払いが苦しくなった段階で、どのような手段があるのか、あらかじめ知っておきましょう。

短期間だけ資金繰りが苦しい場合には、「契約者貸付制度」を利用して保険会社からお金をいったん借りる形にし、保険契約そのものは継続する方法があります。

一度に多額の保険料は支払えないが、少しずつなら資金を捻出できるという場合は、年払いにしていた保険料を、月払いに変更する方法もあります。

ただし、年払いにした場合に比べて、月払いのほうが保険料の払込総額は多くなるため、解約返戻金を受け取る際の「利回り」は、月払いのほうが悪いです。

すぐには資金繰りが改善しそうにないなら、払い済み保険への移行や、保険期間の短縮といった方法も考えられます。

また、保険契約の全てを解約してしまうのではなく、保障内容の見直しを行って、保障部分に関しては必要最低限のもののみ残すことで、支払う保険料を抑えるという方法もあります。

いずれの場合も、「会社の資金繰りが悪いのは、短期間のことか? それとも長期間の問題になりそうか?」を検討して、その後の方針を決める必要があります。

「節税」という、数年がかりで実現する目的と、目先の資金繰りの両方を冷静に考えるために、少なくとも3年ほどの資金繰り表を作成して、会社の資金の流れを把握しておくのがよいですね。

PL保険で食中毒への対策を

食中毒の中でも、夏は細菌性の食中毒が多い季節です。

温度と湿度が上がり、細菌の繁殖が活発になるために、O-157やカンピロバクターなどの細菌による食中毒が増えるのです。

実際、2017年の夏も、惣菜店で販売されたポテトサラダや焼き肉店の料理を食べた人が、O157を原因とする食中毒にかかったという報道が相次ぎました。

惣菜や食事を提供する業者側としても、食中毒には気をつかっていることでしょう。
しかし、「ポテトサラダを作った工場では菌が発見されなかったのに、食中毒は実際に発生している」という事例もあるため、どの時点で細菌類が混入するかは予想がつかないものです。

食中毒にかかった人は、口にした食品が「製造物である」と認められた場合には、製造物責任法に基づいて損害賠償を受けることができる可能性があります。

ただし、食品の中には「製造物ではない」と考えられるものもあり、その例としてはキャベツやレタス、大根やニンジンなどを加工せずにそのまま販売している場合は、それは製造物とは言えません。

原材料に手を加えて新たな物を作るか(製造)、またはその本質を維持させながら新たな価値を加える(加工)などの工程を経たものが製造物であり、惣菜や料理などの形になっていれば、「製造物」と認められるでしょう。

また、八百屋さんの販売する商品の中でも、缶詰などのものは「製造物」と考えられます。

製造物責任法は、実際に被害を受けた人が、訴訟などの形で救済されやすいように設けられた法律ということができ、インターネット時代でもある現代は、「○○を食べてお腹を壊した」といった情報がアッという間に拡散します。

そして、訴訟に持ち込まれて、被告(惣菜・料理を提供した業者側)の過失が認められ、損害賠償金を支払うことになった場合には、
・治療費、入院費、薬代など
・休業損失
・交通費、雑費
・慰謝料
・弁護士費用、訴訟費用など
が請求されることになります。

かつて、大阪府堺市でO-157による集団食中毒が起こり、死亡者が出た事例に対しては、死亡した女児の両親に対して、堺市はおよそ4,500円の損害賠償金を支払うことになりました。

このような事態に備えて、PL保険に加入しておき、迅速に対応できる体制を整えておきましょう。

食中毒事件を起こしてしまったということだけでも、企業イメージのダウンは避けられませんが、迅速に対応することができれば、被害者の感情を悪化させることが少なくなり、それ以上の打撃を防ぐことができます。

新卒の学生さんを採用する予定の企業では、入社前に研修を行い、一般的なビジネスマナーから、貴社の製品に関する様々な知識まで、貴社の社員として必要になる内容を身に着けてもらうという体制をとるところも、増えています。

注意したいことは「新人の皆さんは、社会人としても、貴社の社員としても経験がなく、思わぬケガをしたり、事故を起こしたりしてしまう可能性がある」ということです。

入社前研修の期間が「労働時間」であり、採用予定の皆さんが「労働者である」と認められた場合は、労災保険の給付を受けることができるので、採用予定者の負担感は少なくなります。

そのように認められるかどうかは、まず当該研修が、
・会社の指揮命令で行う研修かどうか
・採用予定者の参加が義務づけられているかどうか
・雇用者側が指定した場所と時間において行われる研修であり、その場所に一定の時間拘束されるような研修内容かどうか
といった条件を満たすことが必要となります。

さらに研修の参加者が「労働者である」と認定されるためのポイントとして、
・労務の提供がされている
・労務の提供の対価としての報酬が支払われている
ことが重要ですが、次のようなポイントについて判断が行われることになります。
・研修に参加した場合には、最低賃金以上の賃金を受け取ることができるかどうか
・研修内容が本来の業務と関係性が高いかどうか
・研修中は使用者の指揮命令下に置かれているかどうか

製造業では「貴社の製品に関する知識」「工場作業をどのように行うかという、実務に即した内容」の研修を行うことも多いかもしれませんが、一般的なビジネスマナーや常識などを見に着けてもらうことも、あるかもしれません。

このような研修の内容ごとに「本来の業務との関係性」が判断されることになります。
正式に入社の辞令が交付されるまで、採用予定の人は不安なものです。

不安だからこそ、まじめに研修を受けて、企業に良い印象を持って欲しいとも思うでしょう。

そのような時期に「この研修は労働時間ではないから」「あなたはまだ労働者ではないから」と労災保険の給付が受けられないことを告げると、採用予定者はどう感じるでしょうか?

政府の労災認定はおりなくても、企業として研修参加者に間違いなく補償ができるよう、何らかの保険に加入しておくことで、研修参加者の印象はずいぶん変わってきます。

労災認定を待たずに保険金を受け取ることができる傷害保険などもありますので、活用していくとよいでしょう。

工場や倉庫の火災保険について

2017年2月に報道された事務用品の通信販売最大手企業「アスクル」の物流拠点とされた倉庫で起こった火災は、鎮火までに数日間を要する大きな火災となりました。

この事故では、無許可で危険物を保管していたことも火災の大きな原因と考えられますが、火災が広がる過程でスプレー缶に引火した可能性についても報道されていました。

一般的な製造業の工場や倉庫には、スプレー缶などはごく当たり前に存在しますし、段ボールやコピー用紙なども得やすい物品も多数あることから、いったん火災が起こったら取り返しのつかないことになる、という点は容易に想像がつきます。

特に、引火点の低い物質が多数保管されている倉庫では、火災によって庫内の温度が急激に上昇すると、引火性物質が一気に燃え上がることになり(フラッシュオーバー現象)、火災が拡大しやすいのです。

また、密閉性の高い倉庫や工場で火災が起こり、誰かが入口をあけたりすることをきっかけに、大量の酸素が供給されると、炎が大きくなるバックドラフト現象も、工場や倉庫の火災では多いです。

トラッキング現象などが原因で電気火災が起きた場合には、安易に水で消火しようとすると感電してしまうことや、化学消火が必要な火災などもあるため、工場での火災の消火活動には特別な注意が必要です。

このような事情を踏まえ、工場や倉庫については必ず火災保険への加入をしておかなければならない、と言えます。

それだけではなく、工場内で火災というトラブルが起こらないよう、従業員の皆さんにも徹底的に指導するようにしましょう。

また、火災によって失われた物品や機械類、建物などを保険金を受け取って復元しさえすれば、企業としての活動を完全に元に戻せるというわけではありません。

周囲の人に、延焼や消火活動の際に被害を与えているなら、損害賠償などを行う必要もあるでしょうし、信頼回復にも費用と時間がかかります。

倉庫や工場を立て直すことができるまで、人件費や税金などがかかりますが、休業損害補償や利益保険などを利用して、そのコストに備える必要もあるでしょう。

火災により、従業員がケガをしたといった場合には、任意労災保険や上乗せ労災保険の適用を受けなければならないかもしれません。

貴社が加入している火災保険の内容は、工場や倉庫を立て直すために必要かつ十分な内容か、他の補償もきちんと確保できているか、ぜひとも確認しておいてください。

建物ごとにばらばらに加入している保険は、契約時期などに注意しながらひとまとめの契約を結び直すことで、保険料の軽減ができることもあります。

パワハラ問題に備えるための保険

製造業や建設業などの世界では「先輩の働く姿を見て学べ」「技術は教わるつもりではなく、自ら盗むつもりで動け」といった形で、新人や後輩への指導をきちんと行う体制ができていない企業が、今もある様子です。

しかし、この行為が「パワーハラスメント」と認定されると大変なことになります。

厚生労働省「あかるい職場応援団」の定義によると、職場のパワーハラスメントとは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」です。

後輩や新人に適切な指導を行わず、ただ業務を任せきりにするだけで、上司や同僚はさっさと帰宅してしまうとか、逆に本来の業務を「どうせできないでしょ」とばかりに取り上げてしまう行為は、パワーハラスメントに該当します。

たとえ、その社員が何らかのミスをした場合でも、懲罰のような意味合いで多大な業務を押し付けたり、他の社員への見せしめのように長時間働かせるということも、パワーハラスメントです。

「パワーハラスメントを受けた」と会社員側が裁判に訴えた場合には、弁護士費用がかかりますし、賠償金額が多額に上ってしまうこともあります。

特にパワハラを受けた社員が精神疾患を発症したり、死亡するに至ったりした場合には、数千万円から億単位の賠償金額を支払う必要が出てくることもあります。

そのようなリスクに備えるための「雇用慣行賠償責任保険」というものの重要性が、高まっています。

実際に、職場で起こったトラブルが、パワハラと考えても仕方のないものなのか、それとも上司としての正当な指導の範疇であり、訴える社員の側にもいくばくかの問題が考えられるのかということは、結局、裁判所の判断を待たなければならないかもしれません。

しかし、「パワハラが起こった」という訴えを起こされている企業であることは、あっという間に世間に広がってしまう時代になっています。

まずは「パワハラ問題を起こさないこと」がもっとも重要です。

パワハラ問題の抑止のために、企業として様々な対策を打っていたという事実があれば、訴訟沙汰になってしまった場合も「企業としてきちんと対策を行っていたのに、問題は起こってしまった」という主張ができます。

どれだけ気をつけていても、社員同士の相性というものもありますので、どうしても行き違いが起こってしまいます。
そのようなときに、保険を活用して対応するのです。

注目される「利益保険」とは

企業が抱えているリスクの1つに「何らかの理由で、長い期間にわたって事業を休止せざるを得なくなる」ということがあります。

人間が事故やケガで仕事を休まなければならないことがあるように、たとえば「工場が火災に遭って何もかも燃え尽きてしまった」といったリスクは、企業にもあるのです。

このような場合に備えるには「利益保険」と呼ばれる保険を活用するといいでしょう。

利益保険の特徴としては、火災や天災など思わぬ出来事が原因で、企業としての活動が阻害されてしまった場合に、本来の活動を行っていれば得られるはずだった利益と、火災や天災などの理由で通常より多く支払うことになった経費の全部、または一部をカバーしてくれることが挙げられます。

工場や工事現場の火災などにより、利益を上げることができない状況となった場合にも、人件費が急にかからなくなるわけではありませんし、税金の支払いもしなければなりません。
それらの支出をカバーするための利益保険は、心強い味方と言えるでしょう。

利益保険の呼び名は損保会社によって少しずつ違いますし、どのような事故についてカバーしてもらえるのかも、損保会社ごとに違いますが、おおむね次のような事故を対象とした保険です。
・火災
・自然災害(落雷・風災・雪災・雹災)
・爆発、破裂
・外から物体が落ちてきたり飛んできたりした場合
・建物の給水設備や排水設備の事故による水濡れ
・敷地の外のユーティリティ設備(電気・ガス・水道・熱の供給設備。または電話や電信の中継設備と、それらに接続している配管もしくは配線)の事故。
・騒擾(そうじょう。集団での騒ぎ)
・盗難
・破損

これを見て「火災保険でカバーすることはできないの?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、火災保険では「火災などにより焼失した建物を復元すること」はできても、建物などが復元でき、再び事業を再開することができるようになるまでにかかる人件費、従業員への休業補償、その他さまざまな費用は負担してもらえません。
火災保険と、利益保険との違いを認識した上で、どちらの保険が適しているかを選ぶようにしましょう。

たとえば、「従業員の数が少なく、たとえ休業補償などをしなければいけない場合でも、その額が多額にならない」といった場合は、火災保険と企業に留保している利益や資産などで対応が可能かもしれません。
いっぽうで、従業員数が多く多額の休業補償などが必要となる企業には、企業保険の方が向いていると言えるでしょう。

人材の定着率を上昇させよう

製造業の世界での人材不足が叫ばれるようになり、特に製品の製造に直接携わる人が不足し始めていると言われています。

日本政策金融公庫総合研究所が調査・公表している「従業員判断指数((「不足」の割合から「過剰」を引いた値)は2017年4月にプラス19.4であり、これは1995年に調査が開始されて以来、最高の値です。

製造業の世界では、PL訴訟を起こされるリスクが高まっており、事故を防ぐための様々な対策が企業側に求められていますが、その1つとして「事故を起こしにくい、品質の高い製品を作ること」が非常に重要です。

そのためには、熟練の腕を持つ技術者を社内で育成することが急務ともいえるでしょう。

いったん雇い入れた社員には定着してもらうこと、他社への人材の流出を防ぐこと、自社内で技術を研鑽し、よりよい製品を製造し続けてもらうことが重要と言える時代なのです。

そのためには、福利厚生の充実や社員のモチベーション向上、過酷な労働の防止といったことが求められます。

製造業界は労災事故が起こるリスクも高いですが、労災事故を防ぐための取り組みを充実させ、イザという場合には十分な補償を行えるようにすることも必要でしょう。

社内や工場内だけではなく、通勤手当の充実や、女性が働きやすくなるよう保育施設が利用しやすい環境づくりなどが今後ますます重要になります。

製品の製造に関しても、社内での製品安全教育の徹底や、機械類の点検・整備をきちんと行って製品の製造に支障がない状態にすることなど、様々な方策があります。

とはいえ、製造業界がただでさえ人手不足の現在において、社員教育や福利厚生の充実、新入社員への教育など、経営者にとっては「やることが多すぎて、手が回らない」というのが現状かもしれません。

PL法が施行されたときにも、経営者の皆さんはその対策を行うことに右往左往されたことと感じます。

昨今は、消費者の権利意識が高まり、訴訟を起こすことに抵抗のない人も増えているため、「知識がなかった」「対応する余裕がなかった」ということが、企業生命を左右する事態へと発展するという認識が薄いままではいけません。

貴社において、雇い入れた人の定着率がどのくらいなのか、退職していった人がどのような理由を挙げていたのかを分析し、できるだけ社員として定着してくれるような環境づくりを行いましょう。

遠回りに見えたとしても、そのことが製品の品質を高め、PL事故を防ぐことにつながっていくでしょう。

休憩時間の適正な確保が事故を防ぐ

PL保険とかかわりの深い製造業や建設業などに携わる皆さんは、「休憩時間」の重要性をよくご存じでしょう。

 

労働基準法第34条に「労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と定められています。

 

休憩も取らずに業務に従事し続けると、それだけ労働災害が起こりやすくなったり、製造や建設の上での作業ミスなども多発してしまう可能性があります。

 

さて、休憩時間の定義ですが「休憩時間とは、一般に、労働時間の途中に置かれた、労働者が権利として労働から離れることを保障された時間である」とされています。

 

休憩時間中は、業務から離れているのですから、その間のケガや事故について、業務災害とは認められないことが多いのですが、場合によっては業務災害と認められることもあります。

 

また、休憩時間中にいったん自宅に戻って昼食を取り、午後の勤務時間にあわせて職場にやってくるような場合、その途中での事故は通勤災害に該当することもあります。

 

昼休み中の従業員の外出や帰宅を制限すれば、通勤災害のリスクは減るかもしれませんが、よほどの合理的な理由がない限りは、外出の届出制や許可制をとることもかなり難しいと考えられています。

 

さらに、昼休みが「休憩時間である」とは認めてもらえないケースがあります。

 

たとえば、顧客からの電話がかかってきた場合に、従業員がやむなく対応していることもあるでしょう。

 

この場合は「手待ち時間」として、休憩ではなく労働時間であったと考えられます。

 

本来、休憩時間というのは従業員の疲れを取ること、精神的なストレスの解消、リフレッシュなど様々な意味のある時間です。

 

休憩時間まであまりにも強く、従業員の行動を管理監督しようとしてしまうと、従業員側の不満が溜まってしまいます。

 

午後の業務によほどの差しさわりが出ない限りは、従業員が肉体的にも精神的にもゆっくりとやすめるように配慮しましょう。

 

そうすることが、製品や建設物を丁寧に仕上げることにつながり、PL事故や労災事故なども防ぐことになるのです。

 

PL保険や労災保険に加入して、万が一の事態に備え損失のカバーができるようにすることは大事です。


いっぽうで、これらの事故がいったん起こった時点で、会社の評判が地に落ちる時代であり、インターネットなどで従業員同士が結束して行動を起こすことも、起こりうる時代です。

 

だからこそ、そもそも「事故を起こさない」ための、従業員への配慮を忘れないようにしましょう。

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